10-6 オタカラコウ Ligularia fischeri

  夏の終わり頃、亜高山から高山の沢沿いの湿地に群生する。中部山岳ではごく普通に見られる植物のひとつだが、この花が咲いていると吸い寄せられるようにそこに近づいてしまう。
 オタカラコウ自体が好きで好きでたまらないというわけではないのだが、この花が咲いている近くには、たいていほかの小さな花もいくつか咲いている。それは、植物写真家の習性であるとともに、沢沿いの湿地で、水をくんだり、蟹を捕ったり、植物を採集したした、古代人の遠い記憶に根ざしたものなのかもしれないと思うことがある。


1997年8月4日 長野県栂池高原 ペンタックスZ-1P シグマAF18〜35ミリF3.5-4.5 f11 オート プロビア100