11-2 ナギナタコウジュ Elsholtzia ciliata

  秋の野に車を止めてドアを開けると、どこからかハッカのような香りが漂ってくる。たいていは、このナギナタコウジュの香りだ。やや癖があるので臭いという人もいるが、遠くから漂ってくるほどのかすかな香りなら、秋らしくて悪くない。
 もっとも、香りそのものというより、まだ残暑が残る都会から車を走らせ、高原の林道でドアを開けた瞬間は、空気の涼しさや軽やかさが、一層心地よい香りに感じさせるのかもしれない。
 薙刀の軍勢のような花序は、たいていは花が終わって雪が降るようになった冬の野でも、枯れながら立っている。


1997年10月2日 山梨県忍野村 ペンタックスZ-1P FA★ズーム80〜200ミリF2.8 f4 オート アスティア