7-5 カラコギカエデ Acer aidzuense

  霜の縁取りをつけた紅葉は、晩秋の季節感を表出する上で格好の写材だ。しかし、こういった被写体に出会うことはそうたやすくない。紅葉した葉が落ちてしまわないうちでなければならないし、低木の上まで霜が降りるほど冷え込んだ朝でなければならない。むろん、早朝でなければならないのはいうまでもない。
 また、霜がつきやすい地形をねらうことも重要だ。尾瀬ヶ原の中でも、沢に沿ったところはひときわ濃い霜が降りていた。カラコギカエデはそんな沢沿いのやぶを構成するカエデの一種。紅葉は鮮やかで、幼木は写真のように鋸歯が荒い。紅葉に霜のついたシーンをねらおうとすると、尾瀬に限らずこの樹が目に留まる。


1996年10月18日 中田代 ペンタックスZ-1P FA★ズーム80〜200ミリF2.8 f4.5 オート(+1/3) プロビア100