9-1 マルバマンサク Hamamelis japonica var. obtusata

  春一番最初に咲く花というのは、なんともいえない気品がある。草の花ではセツブンソウ、フクジュソウ、ミスミソウなどだが、木の花ではマンサクが代表的なものだ。
 特に、雪国に多いマルバマンサクは、まだ根本が雪に埋まっているのにびっしりと花をつける。マンサクの名の由来は、この花の咲き具合でその年の作況を占った(すなわちよく咲けば万作)ことによるという説もあるが、残雪の山懐に刷毛で黄色い絵の具を掃いたように萌え出る様子を見ると、この花に豊作を祈った故人の想いも理解できる。


1997年4月25日 山形県朝日村 ペンタックスZ-1P FA★ズーム80〜200ミリF2.8 f5.6 オート プロビア100