9-3 アカシデ Carpinus laxiflora

  落葉樹が芽吹く頃を「木の芽時」という呼び方をする。この頃、ほんの数日留守にすると、故郷の山野が様変わりしていることにびっくりする。遠くの山肌を毎日眺めていても、一日とて同じ色の日はない。まるで、色紙を持った人文字を見る思いがする。
 春は、待っているとなかなかやって来ないが、ある日突然やって来たかと思うと、今度はすぐに駆け抜けていってしまう。毎年春を迎えているのに、毎年待ちこがれる理由も、このあたりにありそうだ。


1995年4月30日 栃木県塩原温泉 ペンタックスZ-1P タムロンSP180ミリF2.5 f4 オート プロビア100