「スプリング・エフェメラル」
早春に咲く野草のことを、こう呼ぶことがある。エフェメラル=ephemeralは英語で「はかなきもの」という意味だそうだ。
木々が葉を展開するのに先駆けて、花を咲かせ実をつける。そして、梢が濃い緑に覆われる頃になると、もう地上から姿を消してしまう。そんな生活史がこのニックネームの由来である。術語としては「春植物」という訳語もあるそうだが、ニュアンスを正確に伝える日本語は見つからない。
「早春の精」というタイトルを決めて写真を選び出してみたら、雪国のものが多くなった。なかには、秋まで葉を茂らせるものもあるので、すべてが厳密な意味でスプリング・エフェメラルではないが、これらの野草の生育には、冬の積雪量が大きく関与しているのは間違いない。
余談になるが、「ウィンター・エフェメラル」といえば「雪」のことだ。(1996年3月発行)
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