3-5 タカノツメ Evodiopanax innovans
12月の初旬、近郊の里山を歩いた。この年の秋は暖かい日が続き、林はいつもの年より遅れてやっと秋の装いをまとった。 生乾きのクズの葉にからみついたセンニンソウの実が、老人の白髭のように白く光っている。アオノツヅラフジの黒い実が、短い毛をまとった蔓の先で宝石のように輝いている。 林のなかでひときわ目をひいたのは、暖かいイエローに色づいたタカノツメだった。冬芽の形が鷹の爪に似ていることからこの名がついた。 何ということはない里山の、何ということはない秋がいい。
1994年12月1日 愛知県瀬戸市 ニコンFE2 AFDCニッコール135ミリF2 f4 1/60秒 プロビア100