5-2 フキ Petasites japonicus

  春を待つ季節というのは何ともいえずいい。
 まだ、風は冷たいが、光りがどことなく春めいているのを感じると、日だまりになにか咲き始めてやしないかと探したい衝動をおさえきれなくなる。枯れ草の間からもえぎ色の芽を見つけると、「ほら、やっぱり春はそこまで来ているじゃないか」と、誰にともなくいいたくなるから不思議だ。
 しかし、ふきのとうの頃の春は気まぐれだ。せっかく芽を出したところに、積雪や霜に見舞われなければならない。本格的な春までには、もうしばらく待たなければならない。


1996年4月21日 高知県岩黒山 ペンタックスZ-1P SMCマクロ100mmF2.8 f5.6 オート(+1) プロビア100