スポーツクーペのコックピットで車中泊
スバルサンバーで始めた車中泊、残念ながらそのクルマは事故車だったこともあって、長持ちしなかった。
ラジエーターの水がすぐなくなるので、ペットボトルの水を常に携帯して走っていた。ひどい雨の日には、エンジンが吹かなくなる。しまいには、リアサイドのガラスが割れて、ダンボールを貼って走っていたところ、会社の先輩がシルビアを廃車にするというので、安く譲ってもらった。
プロになってしばらく、このスポーツクーペで取材をこなしていた。適当な空き地にクルマをとめ、コンビニ弁当をかっこんで、コックピットのシートを倒して眠る。30代だからこそできた車中泊生活である。
目が覚めてシートを立てればすぐに撮影モードに入ることができる。今にして思えば、一番よく仕事をしていたともいえる。
その後、中古のサニーカルフォルニアに乗り継いだが、大差ない車中泊生活を続けていた自分に、決定的な転機が来た。
それは、寝込むほどの腰痛である。デコボコのシートで何泊も車中泊する生活に、ついに身体が悲鳴をあげたのである。
ポップアップルーフへ
そんな頃、先輩写真家の、姉崎一馬氏の、ポップアップルーフを見せられた。このクルマなら、いくらでも車中泊できそうだ。
色々調べて、当時三菱自動車の特装部が、デリカスターワゴンにポップアップルーフを架装していることがわかった。内装はノーマルのままで3ナンバー。キャンピング仕様でないぶん、車両価格も手ごろだ。
このデリカで11年30万キロの車中泊生活をすることになった。
始めはノーマルのまま使っていたが、徐々に内装に手を入れ、セカンドシートを外して、キャンピングキャビネットを自作した。この頃は、「日本の野菊」という本のための取材をしていたので、標本作成のための仕様も工夫していた。
これは、ワクワクする、面白いコーナーですね。まだ、ここから移動したら戻って来れないかもしれないから、開けて読んでないけど、「旅をせんとや」という題名のコメントは、どこかで読んだ気がします。・・・車の中に設置された机の向こうの窓が、まるでバスの窓のように広々と見えますね。こんな車で移動したり生活してたりしたら、気分爽快だったでしょうね。芭蕉は旅で句を詠み後世に残したけれど、旅に取材して写真とコメントを残したわけですね。いいな・・・ロマンがあって。