フォトエッセイ(野の花365日のミノコバイモより) |
ヨーロッパでも,中国でも,ロシアでも,バイモ属Fritillariaの植物は,どういうわけか特別なものとして認知される。スミレの自生地などそうでもないが,Fritillariaの自生地を教えてくれるときには,みな,とんでもない宝物でも教えてくれるような言い方をする。 中国の場合には薬草としての価値が高いこともある。私たちが観察し終えたあと,ドライバーが掘っていたこともあった。 しかし,日本のバイモ属はその中でも格段にかわいらしい。クロユリをのぞけばほかのすべての種は,いわゆる「コバイモ」で早春に地面近くで花を咲かせる小さな植物である。 少し前の図鑑には2-3種ほどしか載っていないことが多いが,現在では6種にわけられている。さらにもう一種未発表種があるといううわさも聞くが未確認だ。 ミノコバイモは,コバイモと呼ばれていたもののうちの一部。本州中部の主に太平洋側に分布する。
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【ひとくちメモ】 コバイモの仲間は花期には根生葉はないが,花を咲かせない個体は,一枚の根生葉だけを地上に出して過ごす。花の咲いているあたりを探すと必ずこれが見つかる。
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【見わけ方】 コバイモの仲間はまず花冠が細い釣鐘形か,広い釣鐘形か,椀形かにわけることができる。広い釣鐘形と椀形は似ているが,花被片の肩の部分がなで肩のものが椀形,尖るものを釣鐘形ということもできる。ミノコバイモはそのうち,肩がとがる釣鐘形のグループ。 同じような形のものには,コシノコバイモとアワコバイモがある。コシノコバイモは花被片の縁にぎざぎざがあるのが特徴。アワコバイモは葯が黒紫褐色だが,ミノコバイモは黄白色。
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