タネツケバナの仲間（基本編）

Group Cardamine Basic

タネツケバナの仲間のうち、比較的普通に見られる基本的な種をまとめた。個体による変異が激しく、難しいグループだが、羽状複葉の頂小葉と側小葉の形のちがい、葉柄の基部の付属体の有無、茎や長角果の有毛状態に着目する。

	タネツケバナ Cardamine flexuosa	オオバタネツケバナ Cardamine scutata	オオケタネツケバナ Cardamine dentipetala	タチタネツケバナ Cardamine flexuosa var. fallax	ジャニンジン Cardamine impatiens	ミチタネツケバナ Cardamine hirsuta	マルバコンロンソウ Cardamine tanakae	コンロンソウ Cardamine leucantha	ヒロハコンロンソウ Cardamine appendiculata	ミツバコンロンソウ Cardamine anemonoides
複葉											複葉
	羽状複葉。小葉は長楕円形で大きさはほぼ同じ。	頭大羽状複葉。側小葉は全縁。	頭大羽状複葉。側小葉は多少とも切れ込む。	羽状複葉。小葉は細かく切れ込む。	羽状複葉。小葉は細かく切れ込む。	羽状複葉。小葉は長楕円形で大きさはほぼ同じ。	羽状複葉。小葉は楕円形～円形。特に頂小葉は円形になることが多い。	羽状複葉。小葉は同じ大きさ形で、披針形。先が鋭くとがる。	羽状複葉。小葉は同じ大きさ形で、卵形～卵状披針形。先は鈍形。	3小葉。小葉は長披針形。
長角果											長角果
	無毛。	無毛。	普通有毛。近畿以西には、無毛のニシノオオタネツケバナが分布する。	無毛。	普通無毛。時に有毛のこともある。	無毛。	有毛。	無毛。	無毛。	無毛。
茎と茎葉の基部											茎と茎葉の基部
	普通有毛で付属体はない。	普通無毛で付属体はない。	普通有毛だが、近畿以西の変種、ニシノオオタネツケバナはほとんど無毛になる。付属体はない。	有毛。付属体はない。	無毛～有毛。付属体がある。	茎は無毛だが、葉柄のつけねに散毛が出る。付属体はない。	有毛。付属体はあるものとないものがある。	無毛。付属体はない。	無毛。付属体がある。	付属体はない。
その他のポイント											その他のポイント
					花の数が多く、花柄が密集する。	柱頭の伸びるのが早く、長角果は茎に沿って直立する。
分布	全国。湿り気のある耕地周辺など。	北海道～九州。主に山地の谷川のほとりや湿地。	本州の北部や日本海側。山地の湿り気のある林の縁。	北海道～九州。山地の乾いた荒れ地、林縁。	北海道～九州。山地の乾いた荒れ地、林縁。	帰化植物。都市や人里の乾き気味の路傍。	本州～九州。山地のやや湿り気のある林下。	北海道～九州。山地、人里、原野の湿り気のあるところ。	本州。山地の流水のほとりなど、湿ったところ。	関東以西～九州。山地の林下。	分布
同定のポイント	人里周辺の耕地に最も普通の種。オオバタネツケバナ、ミチタネツケバナ、変種のミズタネツケバナ、タチタネツケバナなどとの識別は注意を要する。それぞれの欄に詳述する。	タネツケバナに似ているが、普通ほとんど毛がなく、頂小葉が目だって大きいことで識別できる。上記のように、生育環境も微妙にちがう。また、タネツケバナが越年草であるのにたいして、多年草。しかし、ミズタネツケバナと呼ばれるものを含めて、識別不能と思える個体に出会うこともある。	オオバタネツケバナに似ているが、花も草丈もひとまわり大型で、側小葉に多少とも切れこみがある点がいいポイントになる。多くは、長角果や茎に普通毛が出ることも目安になる。	一見、ジャニンジンに似ているが、葉柄の基部に付属体がない点で見わけられる。タネツケバナの変種で、タネツケバナとの中間型もある。	細かく切れ込んだ葉、葉柄の基部の付属体、このふたつを確かめれば本種と確定していい。付属体を持つのは、この属ではほかに、マルバコンロンソウとヒロハコンロンソウだけ。	最近増えてきた帰化植物。タネツケバナに似ているが、長角果が直立し、花を取り囲むようになる。ほとんど無毛だが、葉柄の基部や葉の縁などにごくわずかな毛が出るのも、いい特徴。	小葉が丸く、茎や長角果などに毛を密生するのが特徴。	ヒロハコンロンソウとともに、小葉が同形同大で、大型の種。ヒロハコンロンソウとは、小葉の形もちがうが、葉柄の基部の付属体がない点も顕著な特徴。	コンロンソウとともに、小葉が同形同大で、大型の種。コンロンソウとは、小葉の形もちがうが、葉柄の基部の付属体を持つのが顕著な特徴。	小葉の細長い3小葉を持つタネツケバナ属は、本種のほか北海道の北部に稀に産するミヤウチソウだけ。ミヤウチソウの花は淡紅紫色なので、白色の本種と、この点でも見まちがえることはない。	同定のポイント
	タネツケバナ Cardamine flexuosa	オオバタネツケバナ Cardamine scutata	オオケタネツケバナ Cardamine dentipetala	タチタネツケバナ Cardamine flexuosa var. fallax	ジャニンジン Cardamine impatiens	ミチタネツケバナ Cardamine hirsuta	マルバコンロンソウ Cardamine tanakae	コンロンソウ Cardamine leucantha	ヒロハコンロンソウ Cardamine appendiculata	ミツバコンロンソウ Cardamine anemonoides