4-5 スミレ Viola mandshurica

  「すみれ色」という言葉で思い浮かべるのは、タチツボスミレのような淡紫色ではなく、このスミレの濃紫色である。個体数、分布の広さからいえばタチツボスミレの方が圧倒的に普通種なのだが、いつの頃からか、このスミレが日本のスミレの代表権を得てしまったようだ。
 万葉集にも登場するので西日本に多い植物のような印象もあるが、日当たりさえよければ寒い所は得意で、霧が峰のような高原の草地や、北海道の原野にもたくさん咲いている。
 基準標本産地もmandshuricaという種小名が示すとおり、旧満州である。


1995年5月26日 北海道帯広市 ペンタックス645 SMCマクロ120ミリF4 f5.6 オート プロビア100