日隆スミレ物語

Viola Story At Ri-Long

日隆スミレ物語

横切る車道から、谷底へむけて伸びている急な坂道をすべりながら降りていく。途中タンポポの仲間を指差し、これもはれ物に効く、と教えてくれる。あるいは、ツアー客が歓声を上げる赤紫のカラマツソウThalictrum delavayiは、山菜として使えるなどという。
Viola tuberifera一見日本のニョイスミレに似ているが、柱頭はまったくちがう

　自生地は、その急斜面にへばりつくようにして耕されたジャガイモ畑の縁だった。花は、なんとか残っていた。一見、日本のニョイ

驚いたことに、地下に鱗茎を持つ。これが決めてとなって種名に行き当たることができた

スミレに似ているが、柱頭の形はまったくちがう。昨年見たように、根本から、地中を浅く這う匐枝を出し、その途中に閉鎖花をいくつもつけている。あるものは、ここに葉をつけていることもあった。
　そして、驚いたことに、このスミレは、地中深くに百合根を小さくしたような鱗茎をもつことである。この特徴がキーになって、Viola tuberiferaという名に行き当たっ

た。
　こうして、幻の日隆スミレの正体は2年がかりでやっと明らかになった。

V.tuberiferaの自生地の谷底で出会った子どもたち。この谷底にも人家がある

バイバイ日隆
　希は18歳になった。「理科高中2年級」だという。金は13歳。「外語学校初中」と林さんは書いてくれた。主に英語を学んでいるという。成都へ二人も子どもを出して