第2回撮れたてドットコム植物写真コンテスト

受賞作品ギャラリー


総評
応募総数76点。
今回は,応募期間が撮影のハイシーズンを含むこともあり,前回にもましてレベルの高い作品が多く集まりました。
大賞を受賞したonchanさんの「早池峰の宝石」はよい条件を逃さず素直に描写したところがほかの作品から一歩抜きん出ていました。
自然写真の主役は,レンズでもカメラでも,まして,デジタル処理でもありません。自然のもっとも美しい瞬間の前では,どんなテクニックもその下僕に過ぎません。とはいえ,的確な下僕があってこそ主役は,データとしてメディアに定着されうるのです。
佳作の5点は今回も迷いに迷って取捨選択したものです。あと一歩で佳作を逃したものも多かったのですが,そんなシーンでは,エッセイの臨場感が大きな力となって入選した作品も少なくありません。


撮れたて大賞

早池峰山の宝石 by onchanさん

【撮影データ】使用カメラ = ニコン
使用レンズ = タムロン
撮影データ = f8 1/200秒 絞り優先
【作者エッセイ】

【選者コメント】
早池峰山にハヤチネウスユキソウの咲く頃は,梅雨のさなかで悪天候が多い季節です。その天候を味方につけて,キラキラと輝く宝石を拾い上げたonchanさんの審美眼に拍手を送りたいと思います。フレーミングに若干の甘さはありますが,それを補ってあまりある美しさです。テクニックが前面に立つことなく,被写体の美しさをストレートに表現しているところが高く評価できます。

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佳作1

HELLO! by ごっかるさん

【撮影データ】使用カメラ = ニコン クールピクス4300
使用レンズ =
撮影データ = f2.8 sp1/129.2 スポット測光 ISO200
【作者エッセイ】
藪漕ぎに疲れ、座り込んでいると目の前に輝くような花が咲いていた。木漏れ日がまるでスポットライトのように花を照らし、優しげに「こんにちは。」と挨拶をしてくれているようである相手は植物で私は人間であるが、歩き疲れて途方にくれた私には、同じ生き物同士の共感があり語り合えるように思えた。
【選者コメント】
沖縄県在住のごっかるさんの作品は,今回何点か一次審査を通過しました。どれも魅力的な作品で,甲乙つけがたかったのですが,被写体のおもしろさという点で,この作品を選びました。難しい条件ですが,コンパクトデジカメでの作品とは思えない完成度の高さです。エッセイも臨場感があって作品と響きあっています。

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佳作2

林床の彩り by J&Yさん

【撮影データ】使用カメラ = Nikon D200
使用レンズ = SIGMA 17-70F2.8-4.5
撮影データ = 不詳
【作者エッセイ】
午前中は森づくりのメンバーと下刈りに汗を流し、昼食を挟んで午後からは周辺の植物観察に出かけた。森の斜面はまだ枯れ色が濃く、ジュウニヒトエやチゴユリを観察していると、目線の先に鮮やかな瑠璃色の塊が目に飛び込んだ。「おや?」と思いながら近づくと、フデリンドウの元気な株が今を盛りと咲いていた。これが、この森でのフデリンドウとの初めての出会いである。ファインダーを覗きながら「追われるもの」たちの安住のために、このまま森づくりを続けよう、と密かに誓った。
【選者コメント】
素直な作品です。作品としてはちょっとおとなし過ぎるかもしれません。写真だけでは第一次審査通過作品の中で埋もれてしまったでしょうが,エッセイが光ります。作者自身の自然への取り組みが短い文章によく表われている文章です。そんな目であらためて作品を見ると,バックの林のぼけの中にさまざまな森の命が感じられます。

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佳作3

緑の中に by Cosさん

【撮影データ】使用カメラ = オリンパス CAMEDIA C-740 UZ
使用レンズ =
撮影データ =
【作者エッセイ】
じめじめ蒸し暑い7月初め。
渓流沿いに車を止めて、何かないかなぁと歩き始めると、
緑色の草たちの中に思いがけなくヤブカンゾウ!
美しい赤橙色に嬉しくなりました。
【選者コメント】
被写界深度が深いというコンパクトデジカメの利点をよく生かした作品です。構成も確かで,林の縁に咲くヤブカンゾウの生きざまがよく表現されています。惜しむらくは,ヤブカンゾウが1輪だけやや中央に近く配置されていることです。もう一歩寄って,花を画面の中心からずらせばさらに動きのある画面になったことでしょう。

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佳作4

岩場にて by nekoppanaさん

【撮影データ】使用カメラ = SONY α700
使用レンズ = Minolta AF50mm Macro
撮影データ = 50mm F/11 1/80 ISO-200
【作者エッセイ】
垂直に近い岩場を慎重に登っていきます。
ひと息ついて振り返ると、登山道が遥か眼下に見えます。
目も眩むような高さの岩で、ハクサンイチゲの花が風に揺れていました。
まるで山頂を目指す登山者達を見送っているようでした。
【選者コメント】
これもエッセイがものを言った作品です。ハクサンイチゲの生育環境もよく表現されています。バックに写っている山稜に残雪があるかガレ場があるかして,もう少し魅力的だったなら,より訴求力の高い作品になったでしょうが,それは致し方ないこと。山を歩いている気分にさせてくれる臨場感あふれる作品です。

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佳作5

寝坊の花 by やまそだちさん

【撮影データ】使用カメラ = PENTAX K10
使用レンズ = PENTAX 50-200mm
撮影データ = f5.6 A +0.5
【作者エッセイ】
花の撮影は花が生き生きしている午前中がベストと思っていますが、そうはいかないものもあります。
このヒツジグサ、昼間で待たないと咲き出さないねぼすけです。
山小屋に早く着いたので、近くの池塘をまわりヒツジグサに挨拶です。
日が傾いていますが、まだまだしっかり花が開いています。
夕方のヒツジグサです。
【選者コメント】
やまそだちさんは前回に続いての入選。静かで的確な植物を見るまなざしが特徴です。この作品も,ややおとなしいきらいはあるが,手前を広くとった2輪のヒツジグサの配置と,前ぼけがなかなかしゃれています。ただし,タイトルにやや難があります。気持ちはわかりますが,もう一考したいところ。

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予選通過作品(タイトル,ハンドルネーム)

ウサギギク,れい
ひっそりかくれて,やまそだち
可憐な森の妖精,やまそだち
林の妖精3姉妹,やまそだち
森の妖精,たけ
苔むす林にて,たけ
稲武の赤蕎麦,ファルーカ
キンポウゲの咲く頃,J&Y
オニノヤガラ,ファルーカ
海に詩う,ホア
滴をまとったハヤチネウスユキソウ,onchan
イブキトラノオ,れい
ゆうすげ の咲く頃,iwanasi
濃密な生命,ごっかる
ミヤマキンバイ,深谷
美しいトラのシッポ (オカトラノオ),Cos
水辺のヤブミョウガ,さーちゃん
照葉野菊,ごっかる
海に浮かぶ花,ごっかる
ササユリ,shuu