フォトエッセイ(野の花365日のセイヨウカラシナより) |
この花が日本の河川敷を埋めるようになったのは,それほど古いことではない。1970年ごろまでの同じような黄色い花といえば,ほとんどはセイヨウアブラナかアブラナだろう。 近所の住宅地を流れる川を例にとると,私たちが子供の頃はうっそうとした薮に覆われていて,釣り人がつけた踏みあとをたどらないと,川面までたどり着けなかった。しかし,現在では広げられた川幅が一部はコンクリートで固められ,そうないところは毎年草刈が行われる。 その草刈が結果としてセイヨウカラシナの群生を維持していることになっている。この花が河川敷を埋める様子は春らしい景色には違いないが,どこか作られたもののような違和感が否めない。
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【ひとくちメモ】 本サイトではセイヨウカラシナという和名を用いているが,カラシナも同じものを指す。各地で栽培されるタカナなども,このセイヨウカラシナの栽培品種である。セイヨウカラシナも若い葉は美味しい。
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【見わけ方】 よく似たものにはセイヨウアブラナがあるが,セイヨウカラシナは葉柄が茎を抱かないので識別できる。また,セイヨウアブラナの方が少し花が大きいので,慣れると遠目でもほぼ識別できるようになる。 国内にも時々帰化しているクロガラシはよく似ているが,長角果が茎に接してつくという。マスタードの原料。 詳しくはアブラナの仲間(会員のみ)へ。
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