フォトエッセイ(野の花365日のオヘビイチゴより) |
霜の朝は朝寝坊などしてはいられない。その日の霜の状態によって,どんな平凡な植物が輝くかわからない。しかし,その時間は早朝のごく短い間だけだ。 オヘビイチゴは,水田周辺の平凡な雑草。陽春の頃,田の畦をややだらしなく黄色の花で彩っているのを見た記憶がある方も多いかもしれない。 五つにわかれた葉が特徴的だが,この葉が霜にあたると赤味を帯び,ひと霜ごとに鉛の入ったような渋い色を深めていく。寒さと戦って春を待つ。その真剣なまなざしはどんな平凡な雑草もかわることはない。
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【ひとくちメモ】 イチゴと名がつくが,オランダイチゴ属Fragariaでもヘビイチゴ属Duchesneaでもキイチゴ属Rubusでもない。キジムシロやミツバツチグリなどと同じキジムシロ属で,果実はイチゴ状にならず褐色で目立たない。 ※写真に写っているへら形の葉はオオジシバリ。
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【見わけ方】 同じようなところに生えるヘビイチゴやヤブヘビイチゴは3小葉になるのでその点で識別できる。また,ほかのキジムシロ属の仲間の多くも,3小葉か羽状複葉になる。5小葉である点に着目すれば,まずオヘビイチゴと考えてよい。 詳しくはキジムシロの仲間(会員のみ)へ。
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