フォトエッセイ(野の花365日のツクシスミレより) |
ツクシスミレはたいていの帰化植物の図鑑には載っていない。一応在来種ということになっているからだ。 どこまでを帰化植物と呼ぶかは,なかなか難しいが,安土桃山時代以降に海外からもたらされ、記録のあるものを帰化植物と呼ぶ。 ツクシスミレの自生地は,どこも人里近くでしかも九州や沖縄に点在している。その自生状態から見て,南方からもたらされたものである可能性が高いが,今となってはそれがいつのことなのか,明らかにするのは難しい。 私が知る自生地は,山懐の,どちらかというとちょっとさびれた山村や温泉地ばかりた。外来種だとすれば,ずいぶん古くから日本の里人の生活とともに生きてきた植物であることをうかがわせる。
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【ひとくちメモ】 ツクシスミレは,1902年,新種Viola kiusiana Makinoとして発表されたが,その後台湾や東南アジアなどに分布するViola diffusaと同じものであることが判明した。
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【見わけ方】 ツクシスミレの仲間は東南アジアなどに分布の本拠があるスミレで,日本には識別に困るような似たスミレはない。葉がへら形であることがもっとも大きな特徴である。
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