フォトエッセイ(野の花365日のヤブカンゾウより) |
緑とひと口に言っても実にさまざまな緑がある。もちろん,それはどんな色でも変わらないが,緑豊かな温帯に暮らす民族にとっては,この色の違いで季節を知り食べられる植物を見わけ,そして風のざわめきを感じとってきた大切な色である。 日本の自然を相手に写真を撮る者にとっては,この緑色の色再現は大きな問題である。新しいフィルムが出たときに話題になるのは一般のカメラマンの場合はまず人の肌の色だが,植物カメラマンの間では緑色の再現が話題になる。 ヤブカンゾウの芽吹きの緑色は,緑とはいってももっとも黄色に近いところに位置する淡い黄緑色である。 インターネットではユーザーの環境によって微妙な色の再現はかなりくいちがうので,十分にこの微妙な色のあやを伝えられたかどうかわからないのが少々残念である。
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【ひとくちメモ】 ヤブカンゾウは山菜としても有名。ノカンゾウ,ニッコウキスゲいずれも同様に食べられる。
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【見わけ方】 正直なところ,生える環境からヤブカンゾウとしたが,ノカンゾウやニッコウキスゲも芽だしの状態はそっくりで,花を見ていないので絶対ヤブカンゾウと言い切れるわけではない。 ヤブカンゾウは人里に多く重弁になる種類。中国原産で栽培されていたものが古い時代に野生化したものといわれる。
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