ヒガンバナは,人里に生える多年草。 秋の彼岸の頃,一斉に田の畦を真っ赤に染める光景は,日本の田園の風物詩のひとつだ。ところが,このヒガンバナ,もともと日本在来の植物ではない。有史以前に大陸から持ち込まれた植物だといわれている。 ヒガンバナの根茎には毒があるが,よく水にさらせば食用にできるので,飢饉の際の救荒食物として,また,ネズミなどの食害を防ぐために,壁に塗り込められたり,土葬の墓地周辺に植えられたりした。 葉は,普通花が終わってから地上に姿を現し,冬中緑を保ち,春に地上から姿を消す。花の時期には地上に葉はない。
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ヒガンバナ 2005年9月29日 愛知県豊橋市 alt.=50m
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【漢字名】彼岸花
【別名】マンジュシャゲ
【花期】9 10月 【分布】本州・四国・九州 【草丈】すね ひざ 【環境】人里・田畑,原野・草原
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ヒガンバナ 2005年9月29日 愛知県豊橋市 alt.=50m
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フォトエッセイ(野の花365日のヒガンバナより) |
日本の野草にはめずらしい強い個性の植物である。 それもそのはずで,本来日本の自生していた植物ではない。ただし,持ちこまれたのは古く,すでに17世紀の文献にはその名が登場する。外国からもたらされた植物ではあるが,帰化植物とは呼ばない。帰化植物とは明治以降に渡来した植物と定義されているからである。 稲穂が色づき始める頃花を咲かせること。それが秋の彼岸にちょうど重なること。そして,短い間に一斉に咲き,一斉にすがれてしまうことなどが,その少しあやしげなたたずまいとともに,人の心に強い印象を与える。
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【ひとくちメモ】 鱗茎は有毒だが,水にさらせば食べることもできる。そのため,救荒食物として使われた。 壁に鱗茎をすりこんで,ネズミの被害を防ぐなどの用途も知られている。また,墓地に多いのは,土葬を動物に荒らされるのを防いだ名残とも言われる。
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ヒガンバナと同じ属の仲間(ヒガンバナ属) |
掲載種はありません。
ヒガンバナと同じ科の仲間(ヒガンバナ科) | |
ハマオモト
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