フォトエッセイ(野の花365日のミズバショウより) |
野草の群生地といえば,カタクリとミズバショウが圧倒的に多い。しかし,いずれも北国に多い植物で,北の地方では少しぐらい群生していても,なかなか観光名所にはならない。むしろ,本州中部のちょっとしたミズバショウの群生地を北海道の人が見たら,「裏山の方がもっとすごい」と思うのが正直な気持ちではないだろうか。 写真は,北海道北部で撮影したものだが,木道などない道ばたの湿地である。もちろん,茶店もなければのぼりが立つことも提灯がぶら下がることもない。 静かな透明な空気に,遠くには天塩の山がまだ真っ白にたたずんでいた。
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【ひとくちメモ】 ミズバショウの白い花びらのような部分は仏炎苞といって,正確には花というより葉に近い。ミズバショウを「白い花」と呼んでしまうことは,植物学的に見れば少し語弊がある。本当の花は中央の棒状のものに多数ついている。これを肉穂花序と呼ぶ。
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【見わけ方】 同じような形をした紫褐色の仏炎苞を持つ花はザゼンソウ。似たような環境に生え,混生することもあるが,ミズバショウと比較すると少し水分の少なめなところに多い。
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