5-6 ヒロハタンポポ2 Taraxacum longeappendiculatum

  春は、待っているとなかなかやってこないが、ひとたび訪れると、瞬く間に通り過ぎてしまう。
 昨日まで、格子のような枝を寒風にさらしていた林は、芽吹きはじめたかと思うといつのまにか新緑で覆いつくされ、地面にロゼット葉をへばりつくように広げていたタンポポは、花を咲かせたかと思うとすぐ綿毛を飛ばしはじめる。
 あんなに恋しかった日差しから、逃げるように木陰を探して歩く季節も、遠くはない。


1996年5月16日 愛知県豊橋市 ミノルタα9xi タムロンSP90mmF2.8 f4 オート(+1/2) プロビア100