日隆スミレ物語

Viola Story At Ri-Long

日隆スミレ物語

 

いると学費がたいへんだともいった。「希は初めて会ったとき、賢そうな少女だと思った」というと「小金県で3番の成績を上げたこともある」と少し自慢げに言った。「夏休みには帰ってくるか?」そう聞くとうれしそうにうなずいた。
 フラワーウォッチングの道すがら、成都から日隆を経て小金へ向かう定期バスとよくすれ違う。屋根の上に荷物をくくり、乗客はあふれそうなほど乗っている。夏休みになると、希も金もこのバスに乗って峠を越えてくるのだろうか。はるかかなたに黄色の段々畑を、彼らがどんな思いで見るのかと思うと、なぜか胸が熱くなる。
 私たちが日隆を去るときに、ツアー客の一人が言った。「バイバイ、私の日隆」かりそめの旅人にさえ「私の…」と呼ばせるような美しさと親しさをこの村は持っている。私は、希のまっすぐな視線を思い出していた。「バイバイ、私の日隆」私も、胸の中でそう言ってみた。
四姑娘山へのツアーの情報は
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巴朗山の峠から下ると、はるかかなたに菜種に囲まれた日隆の村が見える

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photo and text by Masashi Igari
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