ホーム > 野の花365日 > その日の花 1月3日 ミチノクフクジュソウ
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ミチノクフクジュソウ (キンポウゲ科) Adonis multiflola |
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信州の山里には,フクジュソウの仲間が自生しているところが点々とある。落葉樹林の中に完全な自生状態で生えているものもあるが,田の土手で自生とも栽培ともつかぬような状態で生えていることが多い。 里によってフクジュソウかミチノクフクジュソウかはだいたい決まっているようだ。 岐阜県のある群生地では,武田信玄が薬草として持ち込んだという言い伝えが残っているところがあるが,おそらく古い時代に人の手によって遠くの地域からもたらされたものも多いのではないだろうか。 撮影したこの山里は,どちらから入っても険しい峠を越えなければならない隠れ里のようなところだが,里じゅうの田の土手がミチノクフクジュソウの群落で埋まっていた。 【見わけ方】本州で見られるフクジュソウの仲間は,フクジュソウかミチノクフクジュソウのどちらかである。 もっとも見わけやすいのは萼片の数と長さ。ミチノクフクジュソウは萼片が短く咲ききった花では花弁の半分ほどになり,数はたいてい5枚である。フクジュソウのほうは花弁より少し短い程度で,数も5-10枚と多い。 もう一点は茎を切ってみると中空であること。フクジュソウは中実(中が詰まっていること)。 また,ミチノクフクジュソウの花はひとつの茎に必ず複数の花がつくが,フクジュソウはひとつのこともあれば複数のこともある。詳しくはフクジュソウの仲間(会員のみ)を参照。 【ひとくちメモ】フクジュソウが人の手によって運ばれたというのは,昔は花をめでる植物というより,むしろ薬草として利用される植物だったためではないかと考えるからである。 さまざまな薬効が伝えられるが,心臓疾患に効果があるともいわれている。劇薬なので民間薬としての利用は命に関ることがあるが,医療事情の悪いいにしえの里人たちは,こういった紙一重の薬草に命をゆだねていたにちがいない。 |
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