ホーム > 野の花365日 > その日の花 12月7日 イソフジ
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イソフジ (マメ科) Sophora tomentosa |
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カヌーを漕ぎ出したが,どうにも向かい風が強くて前に進まない。 「仕方ない,戻りましょう」 ガイド役の友人Tさんはそういって,出発した島に舳先を向けた。 西表島近くの無人島,内離島での出来事である。無人島とはいっても,西表島の白浜港からカヌーで15分ほどの距離である。遭難というほど大げさなことではなかったが,風がおさまらなければ一夜を過ごそうと覚悟を決めた。 まずは,流木を集めて焚火をした。次に,西表島に住むTさんが,たびたび食べているという巻貝を集めて,流れ着いた空き缶でゆでて食べた。無人島を歩き回ったあとのことでもあり,これが絶品だった。あとは,泡盛さえ流れ着いてくれたら,一晩中焚火を囲んでいても何不足ない状態だった。 運良く?風は数時間でおさまった。なんとなく貝の味に後ろ髪を惹かれるようにして,カヌーをこぎ始めた。 焚火をした海岸で見つけたのがこのイソフジである。望遠レンズでやっとのぞけるほど高いところに咲いていた。遭難ごっこをしている愚かな人間どもを見下ろしているようでもあった。 |
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