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12月31日[その日の暦]

 
   ハギクソウ (トウダイグサ科) Euphorbia octoradiata

現在日本で確実に自生が確認されているのは,渥美半島だけだろう。半島にも数箇所。なかには防風林が成長して生育環境が悪くなっている群落や,資材置き場にされてしまいかけた群落もある。そうでなくとも,海岸に護岸工事のためのブルドーザーが入れば,ものの数時間であとかたもなく消えうせてしまいそうな自生地ばかりである。
中央アジア方面にも同じ種が分布しているといわれている。しかし,果たしてほんとうに同じ種かどうかは未だ研究の余地があるようだ。
ロシアと中国の国境をなすハンカ湖の砂地でも,よく似た植物を見た。種は違うだろうが,生育環境や形態はよく似ていた。自然史のものさしでいえば,そう遠くない過去に共通の祖先を持つ植物かもしれない。
ハギクソウがここに生えているという事実は,私のような素人が少し想いをめぐらせるだけでも,果てしない自然史のメッセージが刻み込まれている。今すぐにそのメッセージを読み解くことはできないとしても,このメッセージを後世に手渡していく義務が,私達にあるのではないだろうか。
20世紀はすでに生物の「大絶滅時代」という汚名を払拭できないかもしれない。すでに人類の繁栄の影響で地球上から姿を消した生物は多い。しかし,次なる時代にこの大絶滅を続けていくとなると,今度は人類そのものの存亡にも重大な影響が及びはしないか。
生物の絶滅は,それまで繁栄していたものに,ある日突然訪れる断崖のようなものである。人類とて他人事ではない気がするのは私ひとりだろうか。


2000年1月12日 愛知県渥美町
ペンタックスZ-1P FAマクロ50mmF2.8 f8 絞り優先オート(-0.3) フジクローム・プロビア100


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