ホーム > 野の花365日 > その日の花 1月20日 ユリワサビ
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ユリワサビ (アブラナ科) Eutrema tenuis |
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人の手で植えられた植物に,あまり積極的な関心を持つことができないと,ことあるごとに書いてきた。その原因の一つに,私の場合,植物への関心や記憶が,その場所の空気の質感のようなものと密接に結びついていることもあげられるかもしれない。 ユリワサビと出会うのは,まだ大方の春の花が咲き始める前,冷たいが早春独特の土の匂いのかすかに混じった谷川の空気の中である。 ユリワサビの写真を見るときはもとより,名前を聞くだけでもその空気の質感をほほに思い浮かべることができる。 もとより機械的な記憶力にはまるで自信はないが,なんとか植物の名前を忘れずにいられるのは,そんな皮膚感覚や嗅覚の助けを借りているからなのかもしれない。 【見わけ方】刺身に使うワサビは同じ仲間。ワサビの方が大型で大きさがまったくちがうので一度両者を見れば見まちがえることはない。このほか,ワサビの葉は厚みと光沢がある。またワサビの根茎は肥大するが,ユリワサビの根茎は細い。 オオユリワサビvar.okinosimenseは福岡県の沖ノ島から記載された種で,現在沖ノ島では絶滅したといわれているが,最近になって本州北部の日本海側で再発見されている。 詳しくはワサビの仲間(会員のみ)へ。 【ひとくちメモ】ユリワサビの名の由来は,茎の基部に枯れた葉の葉柄が残って百合根のように見えることから。 |
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