ホーム > 野の花365日 > その日の花 3月14日 Fritillaria meleagearis
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Fritillaria meleagearis |
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ナタリーはすまなさそうに言った。 「今日はどうしても大事なビジネスがあってフィールドにつきあえないわ。去年,Viola reichenbacheanaを見たところは地図を書いてあげるから,悪いけどひとりで行ってみて。そこには,きれいなFritellariaも咲いているはずよ。数はあまり多くないけど」 フランス南部トゥールーズでのことである。数日泊めてもらった上に,そのうち2日は300km離れた別のエリアに車で連れて行ってくれて,もちろん私は十分ナタリーとその家族に感謝していた。フランスはヨーロッパの中でも英語が通じにくい国で,フランス語をまったく話せない私にとっては,たどり着けるかどうか不安も多かったが,なんとかバスで現地に行ってみることにした。 現地は,トゥールーズ市の街外れ,小さな川のほとりのグリーンベルトのようなところだった。ナタリーのいうとおりViolaも咲いていたが,このFritillariaも点々と咲いていた。ちょうど,日本の同属の植物,コバイモとクロユリを足して2で割ったような姿である。こんな人家近くにこんな花が残っているのは驚きである。 そのほかにも,ピンクのタネツケバナや先週掲載したLathraea clandestinaなどが,わずかなグリーンベルトに点々と咲いていた。 ナタリーの秘密の花園を堪能した早春の一日だった。 【見わけ方】ヨーロッパには同じような形のFritillariaが何種類もあるが,フランスの別の友人Marcによると,Fritillaria meleagearisでまちがいないようである。 花被片の間に隙間がなく,上部の葉が互生しているのが特徴だと教えてくれた。 【ひとくちメモ】Fritillaria属は北半球に約100種ほどが知られている。日本のコバイモの仲間のような丈の低いものは少なく,Fritillaria meleagearisのように膝丈ほどになるものが多い。 |
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