ホーム > 野の花365日 > その日の花 3月15日 ヤマザクラ
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ヤマザクラ (バラ科) Prunus jamasakura |
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「ソメイヨシノに比べれば華やかさはないが...」 ヤマザクラが語られるときにはこんな枕詞がつけられることが多い。一般にそうとらえられていることが多いので,私自身もそう書いてしまうことが多い。 しかし,実は内心この言葉は私にとって不本意きわまりない言葉である。なぜなら,子供の頃からむしろヤマザクラの方がソメイヨシノよりも好きだったからである。ソメイヨシノの良さがわかったのはむしろ大人になってからである。 絢爛という点ではソメイヨシノに軍配が上がるかもしれないが,淡い桜色の花に対して葉のワインレッドは,輪郭を引き締めコントラストを際立たせる意味で造形的にも重要な役割を果たしていると思う。また,葉の色も花の色も個体によって微妙に違い,一様でないのも好ましい。 江戸時代の末にソメイヨシノが流行するまでは,桜といえばこのヤマザクラだった。日本人と桜の歴史から見れば,ソメイヨシノの流行は最近のことといえる。 いつかヤマザクラが再び見直される日が来るにちがいない。 【見わけ方】エドヒガンは花が小型で花と同時に葉が出ることがない。花期は早い。 カスミザクラは花が白っぽく花期がおそい。 新潟県以北にはヤマザクラより花の色が鮮やかなエゾヤマザクラがある。 【ひとくちメモ】多くの桜の名所はソメイヨシノが主体だが,古代から桜の名所として知られる奈良県吉野山の樹種は主にこのヤマザクラ。 |
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