ホーム > 野の花365日 > その日の花 4月7日 ハルリンドウ
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ハルリンドウ (リンドウ科) Gentiana thunbergii |
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「春が目を覚ませて地面から空を見つめているようだ」 この植物をそう評した人がいたが,実に言いえて妙である。 ハルリンドウはほかの多くのリンドウと同じように,晴れた日には花を開くが,雨の日や夜間には花を閉じている。湿原の枯草色の中にこの花を見つける頃は,実はまだはださむい日もめずらしくない。いわゆる「花冷え」である。しかし,この花のイメージがいつもぽかぽかとした春の日だまりの中にあるのは,そんな天候のときにしか開かないからだろう。 花のブルーはその瞳が見つめている空の色を映したかのような,目のさめるような色である。残念ながら,その光沢感は写真やモニター上ではなかなか再現しにくいもののひとつである。 毎春,その素直な色彩を見て,実物に接することの大切さを痛感する。 【見わけ方】春に咲くリンドウはどれも草丈の低いものばかりである。似たものにはフデリンドウやコケリンドウがある。 ハルリンドウは湿り気のある草地や湿地に生えるが,フデリンドウは乾いた草地や明るい林に生える。ロゼット状の根生葉がないのが,フデリンドウの特徴。 コケリンドウはハルリンドウと同じようにロゼット状の根生葉があるが,全体小型で萼裂片が平開から反転する。ハルリンドウの萼裂片は直立。 【ひとくちメモ】亜高山の湿原には,ハルリンドウの変種タテヤマリンドウが見られる。多くの植物の高山型変種は,低地のものに比べて花の色がこくなることが多いが,タテヤマリンドウの花の色は淡青紫色で,ハルリンドウよりもずっと淡い。 |
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