ホーム > 野の花365日 > その日の花 4月10日 アケボノスミレ
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アケボノスミレ (スミレ科) Viola rossii |
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ロシアの沿海州を初めて訪ねたときに驚いたことがある。 向うのスミレの専門家に,拙著「日本のスミレ」を見せると,なんと 「日本のViola rossi(アケボノスミレ)はこんなピンク色をしているのか?」というのである。沿海州にはロシアでたった一ヶ所だけ分布があるが,すべて白花だというのである。 日本ではピンク色だから「アケボノ」スミレなのである。もちろん,学名のrossiは人名で,花の色を表す名前ではない。 これがひとつのきっかけになって,沿海州でViola rossiといわれているものが,実はViola diamantiacaという別の種であることが明らかになった。この2種は標本ではとてもよく似ている。Viola diamantiacaは地下匐枝をもつので,その点がよい識別ポイントになるが,匐枝のついていない標本では識別は難しい。 しかし,花の咲いているところを見れば,花の色だけではなく,花の開き方や花冠の形,葉の数などで,少しスミレを見慣れている人だったら容易に別種だとわかる。 私自身も別種だと確信したのは,自生地で花の咲いているものを見てからだった。 【見わけ方】大陸では上記のようにViola diamantiaca(フキスミレ)が紛らわしい。地下匐枝があることのほか,花は白花で葉の数は普通多くても3枚ぐらいまで。葉の基部の湾入はアケボノスミレでは葉身の半分ほどだが,Viola dianmantiacaは1/3ほど。 詳しくはスミレサイシンの仲間(会員のみ)へ。 【ひとくちメモ】日本ではアケボノスミレに似た仲間は,気象条件によって明確な分布エリアをもっている。スミレサイシンは日本海側の多雪地,ナガバノスミレサイシンは太平洋側の山地に。アケボノスミレは雪が少なくて冬の冷え込みの厳しい内陸や東北地方の太平洋側に分布している。 |
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