ホーム > 野の花365日 > その日の花 4月11日 Viola collina
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Viola collina |
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「オンリー・コリーナ」 あたりを調べて戻って来たゾーヤは,Viola collinaしか咲いていないという意味のこの言葉を言いながら首を横に振った。 1999年,この年,ロシア沿海州の春は遅かった。私は,現地の植物学者の夫妻,アンドレイとゾーヤに連れられて,沿海州内陸部のハンカ湖近くを訪れていた。 期待していたスミレのいくつかは未だ咲いていない。咲いているのはこのViola collina=エゾアオイスミレばかりである。 しかし,この年ほど新鮮なViola collinaをたくさん見たことはない。沿海州ではもっとも個体数の多いスミレのひとつであるが,花期も一番で,ほかのスミレに先駆けて咲く。たくさんのスミレが見られるような季節には,もはや新鮮な個体はほとんど残っていない。 これは,日本でも同じだが,国内ではそれほど普通に見られる種類ではないので,新鮮な個体に出会うにはよほど意識してこのスミレに照準を合わせる必要がある。 しかし,とにかく沿海州では個体数はとても多い。時期があえばいくらでもブーケのように花を咲かせた大株を見ることができる。 香りが強く,これだけ花が咲いていると,近くを通るだけでスミレの香りが鼻先をかすめることもある。 【見わけ方】日本のアオイスミレは近縁種。匐枝があり,葉が冬を越す点に違いがある。 【ひとくちメモ】日本のエゾアオイスミレにはViola collinaのほかViola teshioensisをあてる説もある。ユーラシア西部のViola collinaと別種と考えるとViola teshioensisが浮上するが,別種と考えるのに十分な明確な識別点は指摘されていない。 |
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