ホーム > 野の花365日 > その日の花 5月16日 Caitha palustris
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Caitha palustris |
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植物には国境がない。しかし,植物学分類学には国境ないとはいえない。 ロシアの学者と話をしていると,日本の植物学の見かたとずいぶんちがうところがあると感じる。「種」の範囲をどのようにとらえるかという点でもずいぶんちがう。 日本の分類学者は,どちらかというと,種の中に亜種,その中にまた変種を作り,ディレクトリーを細分化する傾向がある。例えるならノミや彫刻刀で細かく削った彫り物のようだ。 ロシアの分類学者はあまり変種というランクを使わない。少しでも違いが認められれば,独立種とする傾向がある。いわば,一思いにナタで薪を割るのに似ている。 しかし,ロシアでは種をいくつかのまとまりにわけて,「広義の種」のような概念を使うこともあり,それが日本では変種や亜種を束ねた「種」に相当することもある。 どちらがいいかは,分類学の根本的な問題を含んでいて簡単には決められないだろうが,少なくとも,そういった分類学上の「国境」が存在することを知っておかないと,彼らの言うことを理解できないことが多い。 リュウキンカは日本では変種エゾノリュウキンカが認められることが多いが,ロシアでは二つの種に分けられている。日本のように大きさではなくて,葉の基部の湾入の深さが識別のポイントになる。これは,日本のリュウキンカと同じ学名のもの。 いずれにしても,ウラジオストク市近郊でも一面の大群落が見られるのは驚嘆する。 【ひとくちメモ】写真の白い花はウラホロイチゲAnemone amurensis青紫はエゾエンゴサク(広義)Corydalis ambigua。 |
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