ホーム > 野の花365日 > その日の花 1月16日 ヤエムグラ
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ヤエムグラ (アカネ科) Galium spurium var. echinospermon |
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別名,勲章草。春の盛りの頃ちょっと暑苦しく薮を占拠する緑濃い雑草である。葉の裏や茎に微細な刺があり,それで衣服にくっつくので,子供の勲章遊びにはもってこいだった。 しかし,この刺,彼らヤエムグラにとっては,本来薮のほかの植物やまた仲間の別の茎と絡み合いはいのぼり,春の光を一身に浴びるための生活の道具である。 冬の田の隅をよく探すと,春の頃とはちょっと想像もつかぬ様子で紅をさしたヤエムグラが見つかる。暖かくなると一気に走り出せるように,薮が夏草に覆われてしまう前に十分光を浴び種子をこぼすことができるように,冬のさなかも眠らずにじっと葉を広げて春を待っている。 【見わけ方】アカネ科には似た植物が多いが,ヤエムグラはもっとも普通に見られるもの。春の盛りに目立たない淡黄色の花を咲かせる。 ヨツバムグラは葉が4枚輪生,クルマムグラは林の中に生え花が白いので識別できる。オオバノヤエムグラはよく似ているが,山地の林の中に生え,花期は夏になり,花序の枝が長く刺も少ない。 【ひとくちメモ】現在ではヤエムグラという和名は一般にこのアカネ科の植物を指すが,百人一首に出てくる恵慶法師の「八重葎 しげれる宿の さびしさに 人こそ見えね秋は来にけり」の八重葎はクワ科のカナムグラを指しているといわれている。 |
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