ホーム > 野の花365日 > その日の花 1月18日 Viola sacculus
|
|
|
|
Viola sacculus |
|
新和ツーリストのTさんがあるとき写真を見せてくれた。南米パタゴニアの高山で撮影したというスミレの写真だ。 いつもは,しぶしぶツアー講師を引き受けるポーズをとっている私も,この写真を見せられたときばかりは身を乗り出して「このツアー,来年は行かせてください」と志願した。それがこのViola sacculusである。 念願かなってそこへ行くことができたのは翌年のことである。ゴンドラとリフトで登れる意外に身近なところに咲いていた。前の日に腕を傷めて前夜はフォークももてないほどだったが,このスミレを前にしたら,不思議なほどすいすい動くようになった。 濃い霧と強風の中で見るスミレは,写真で見るよりもずっとずっと白く輝くスミレだった。 【見わけ方】スミレ科植物にもっとも多様性があるのは南アメリカである。日本にあるスミレはすべてスミレ属だが,スミレ属以外のスミレ科植物も多い。また,スミレ属のものも,この種のようなロゼット・ビオラと呼ばれる多肉型のものから,木本まであらゆる形がそろっている。南米がスミレ科植物の発祥の地と考えられているのはその多様性ゆえである。 【ひとくちメモ】自生地の山岳は,チリ国境近く,南緯41度,標高2000mほどのところである。日本でいえば,ちょうど大雪山と同じような位置だ。ただし,夏の間に雨が少ないので,森林はあまり発達せず,ガラガラした岩場にコンパクトな高山植物が多数花を咲かせていた。 |
|
||
|