ホーム > 野の花365日 > その日の花 1月25日 Codonorchis lessonii
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Codonorchis lessonii |
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島国で生まれ育つと,どうしても陸続きの国境というものになじみがない。 イタリア北部をレンタカーで歩いたときには,スロベニアの国境に近くなるとわけもなく緊張した。映画の見過ぎといわれそうだが,どうしても近づくだけで銃撃されたり拿捕されたりしそうな気がしてしまう。 初めて陸続きの国境を越えたのはチリとアルゼンチンの峠だ。両国とも出入国にはあまり厳戒な手続きが必要ない国と聞いていたが,それでも入国検査を待つ間はなんとなく緊張していた。 無事に国境を越え分水嶺を通りかかったときに,臭いがした。臭いといっても鼻をついたわけではなく,なにかが咲いていそうな気配がしたという意味である。 標高が高かったので,林縁にはさまざまな高山植物が咲いていたが,林に踏み入ると,林床にはこのランが点々と咲いていた。 国境の緊張感から解放されたこともあって,しばし撮影に没頭したのはいいが,夢中になりすぎて翌日はひじを痛めて,一時フォークももてなくなった。 【見わけ方】ラン科はもともと属の数が多く,小さな属が多いが,このCodonorchis属も多く見積もっても世界に4-5種の小さな属。パタゴニアの文献にはこれ以外の種は載っていない。 【ひとくちメモ】葉は日本のフタバランの仲間などに似て対生するが,さらに個体によっては輪生状になる。 |
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