ホーム > 野の花365日 > その日の花 2月16日 ヨゴレネコノメ
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ヨゴレネコノメ (ユキノシタ科) Chrysosplenium macrostemon var. atrandrum |
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早春の雑木林の主役は,カタクリやイチリンソウといった華麗な野草であることに異を唱える人はいないだろうが,このネコノメソウの仲間は人知れず舞台を奥行きのあるものにしている名脇役ではないだろうか。もし日本の山野からネコノメソウの仲間がすべて消えてしまったとしたら,どんなに単調なものになるか想像できない。 ヨゴレネコノメは太平洋側の山地に多く,主に落葉樹林帯でよく見かける。かわいそうな名だとよく言われるが,なかなかストレートでいい名だと思う。なにより印象によく残る。 初心者向けの図鑑では,種類の多いネコノメソウの仲間はあまり多くの種類が載せられないのが普通だが,このヨゴレネコノメはそんなこともあってか,よく掲載されている。 【見わけ方】ヨゴレネコノメはイワボタンの変種。ヨゴレネコノメは花の中の雄しべの葯が赤褐色だが,イワボタンは黄色。ただし裂開前のものを比べる必要がある。花粉は両方とも黄色なので,裂開してしまうと黄色く見えることがある。また,花びらのような部分である萼裂片はヨゴレネコノメは直立するが,イワボタンは斜開する。このほかにも似た仲間が多数ある。 詳しくはネコノメソウの仲間(完全編)(会員のみ)へ。 【ひとくちメモ】ネコノメソウの仲間は日本に種類が多い。世界に55種ほどあるうち日本に14種と平凡社の「日本の野生植物」に書かれているが,2001年の「Flora of Japan IIb」には18種の記載がある。考えてみれば,日本のように雨の多い気候はネコノメソウの仲間にとってもっとも好ましい環境なのだろう。日本特産の種も多い。 |
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